
アメリカンショートヘアを家族に迎え、その愛らしさに癒される毎日をお過ごしのことでしょう。
しかし、そんな中でアメリカンショートヘアのトイレのしつけに悩んでいませんか?
トイレの場所を教えるにはどうしたら良いのか、おすすめのトイレはあるのか、そもそも場所はどこが良いのか、といった基本的なことから、気になる臭いへの匂い対策、トイレの頻度、そして「トイレに行きたいときは落ち着きがなくなる?」といった愛猫のサインの見極め方まで、疑問は尽きないものです。
時にはトイレを失敗してしまうこともあり、その対処法に頭を抱える飼い主さんも少なくありません。
この記事では、そうしたアメリカンショートヘアのトイレに関するあらゆるお悩みを解決するため、しつけの基本から失敗したときの原因と対策までを網羅的に解説します。
愛猫との暮らしがより快適になるヒントがきっと見つかります。
アメリカンショートヘアのトイレ|基本のしつけと準備
- トイレの場所を教えるにはどうすれば良い?
- 最適なトイレの場所はどこが良いのか解説
- 愛猫に合うおすすめのトイレは?選び方のコツ
- トイレに行きたいときは落ち着きがなくなる?
- 健康チェックに役立つトイレの頻度とは
トイレの場所を教えるにはどうすれば良い?

アメリカンショートヘアにトイレの場所を教えるには、根気強い誘導と「ここで排泄すると安心」という成功体験を積ませてあげることが最も重要です。
賢い猫種なので、一度覚えてしまえば失敗は少なくなりますが、最初のステップでつまずかないように丁寧にサポートしましょう。
猫は元来、決まった場所で排泄する習性があり、その場所を「匂い」で覚える傾向があります。
この習性を利用するのが、しつけを成功させる近道です。
具体的なしつけの手順
- サインを見逃さずトイレへ誘導する
猫は排泄前になると、床の匂いを嗅ぎまわったり、ソワソワと落ち着きなく歩き回ったり、前足で床を掻くような仕草を見せることがあります。このようなサインを見つけたら、優しく抱き上げて用意したトイレへ連れて行ってあげましょう。 - 匂い付けで場所を認識させる
もし、トイレ以外の場所で粗相をしてしまった場合は、その排泄物を少量だけ取ってトイレの砂の上に置いてみてください。自分の匂いがすることで、「ここがトイレだ」と認識しやすくなります。ティッシュにおしっこを少し染み込ませて置いておくのも効果的です。 - 成功したらたくさん褒める
トイレで上手に排泄ができたら、すぐにたくさん褒めてあげることが大切です。「よくできたね」と優しい声で撫でてあげることで、猫は「ここでトイレをすると褒められる」と学習し、ポジティブな経験として記憶します。
しつけでやってはいけないこと
トイレの失敗に対して、大声で叱ったり叩いたりするのは絶対にやめましょう。
猫はなぜ叱られているのかを理解できず、飼い主さんに対して恐怖心を抱いてしまいます。
また、「排泄行為そのものがいけないこと」と誤解し、隠れて粗相をする原因にもなりかねません。
一度で覚えなくても焦る必要はありません。
特に家に迎えたばかりの頃は、環境に慣れていないため失敗しやすいものです。
愛情を持って、繰り返し教えてあげてくださいね。
最適なトイレの場所はどこが良いのか解説

猫が安心してトイレを使えるかどうかは、設置場所に大きく左右されます。
アメリカンショートヘアは活発ですが、排泄中は無防備になるため非常にデリケートです。
快適なトイレ環境を整えるために、以下のポイントを考慮して場所を選びましょう。
猫が好むトイレの場所の条件
- 静かで落ち着ける場所
テレビの近くや人の出入りが激しいドアのそばなど、大きな音や動きがある場所は避けましょう。 - 食事や水飲み場から離れた場所
猫は非常に綺麗好きな動物です。自分が食事をする場所の近くで排泄することを嫌います。 - 風通しが良い場所
排泄物の臭いがこもらないよう、ある程度の換気ができる場所が理想です。ただし、寒すぎる場所は避けてください。 - 飼い主の目が届きやすい場所
完全に隠れた場所だと、排泄物のチェックができず、体調変化のサインを見逃す可能性があります。さりげなく様子を確認できる場所がベストです。
これらの条件を踏まえると、リビングの隅や廊下の突き当り、洗面所などが候補になります。
特に人間用のトイレは、個室で換気扇も付いているため、猫のトイレ置き場として適している場合があります。
ここはNG!避けるべきトイレの設置場所
避けるべき場所 | 理由 |
---|---|
玄関 | 来客や物音が多く、猫が落ち着けません。また、冬場は寒く、ドアの開閉時に脱走する危険もあります。 |
クローゼット・押し入れ | 静かですが、湿気や臭いがこもりやすく不衛生になりがちです。衣類に臭いが移る可能性もあります。 |
窓際 | 外を通る人や他の猫の気配にストレスを感じることがあります。また、夏場は温度が上がりやすく、細菌が繁殖する原因にもなります。 |
もしトイレの場所を移動させたい場合は、突然変えるのではなく、今までの場所に加えて新しい場所にもトイレを設置し、猫が自ら選ぶのを待つか、少しずつずらしていく方法で、ストレスを最小限に抑えてあげましょう。
愛猫に合うおすすめのトイレは?選び方のコツ

毎日使うトイレだからこそ、愛猫にとって快適なものを選んであげたいものです。
アメリカンショートヘアは、がっしりとした体格に成長することが多いため、体の大きさに合った、ゆとりのあるサイズを選ぶことが基本となります。
トイレのサイズの目安は、猫の体の全長(頭からしっぽの付け根まで)の約1.5倍が理想とされています。猫が中で方向転換できるくらいのスペースがあると、ストレスなく使用できます。
子猫の頃から大きめのトイレを用意しておくと、成長しても買い替える必要がなく経済的です。
トイレの種類と特徴
猫のトイレには様々な種類があります。
それぞれのメリット・デメリットを理解し、愛猫の性格や飼い主さんのお手入れのしやすさに合わせて選びましょう。
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
オープンタイプ | ・猫が出入りしやすい ・排泄物のチェックが容易 ・掃除がしやすい | ・砂が飛び散りやすい ・臭いが広がりやすい |
ハーフカバータイプ | ・砂の飛び散りをある程度防げる ・オープンタイプに近い開放感 | ・完全に砂の飛び散りを防げるわけではない |
フルカバー(ドーム)タイプ | ・砂の飛び散りをしっかり防ぐ ・臭いが外に漏れにくい ・猫が落ち着いて排泄できる | ・臭いが内部にこもりやすい ・掃除がしにくい ・体の大きな猫には窮屈な場合がある |
システムトイレ | ・おしっこが下のシートに吸収されるため、毎日の掃除はウンチのみで楽 ・消臭効果が高い製品が多い | ・専用の砂やシートが必要でコストがかかる ・砂やシートの感触を嫌がる猫もいる |
猫砂の選び方も重要
トイレ本体だけでなく、猫砂も猫の好みが分かれるポイントです。
鉱物系、紙系、おから系、木系、シリカゲル系など、様々な素材があります。粒の大きさや香りも多種多様です。
もし愛猫がトイレを嫌がるそぶりを見せたら、別の種類の猫砂を試してみるのも一つの手です。
最初は香りのないタイプから試すのがおすすめです。
トイレに行きたいときは落ち着きがなくなる?

はい、その通りです。多くの猫は、トイレに行きたくなると特有のサインを見せます。
このサインを飼い主さんが早期に察知することで、トイレのしつけがスムーズに進んだり、粗相を未然に防いだりすることができます。
アメリカンショートヘアが見せる主な「トイレのサイン」は以下の通りです。
- 床の匂いをクンクンと嗅ぎながら歩き回る
- 特定の場所(特に部屋の隅など)をウロウロし始める
- 落ち着きがなくなり、ソワソワした様子を見せる
- 前足で床やカーペットをカリカリと引っ掻くような仕草をする
- 低い声で鳴きながら飼い主さんを見つめることがある
これらの行動は、野生時代の名残で、排泄に適した安全な場所を探している行動と考えられています。
特に子猫や、新しい環境に来て間もない猫は、このサインが顕著に現れることが多いです。
もし愛猫がこのようなサインを見せたら、「トイレかな?」と考えて、そっとトイレに連れて行ってあげましょう。
これを繰り返すことで、猫は「この場所で排泄すれば良いんだ」と学習していきます。
遊びに夢中になっている時や、寝起きなどにこのサインが出やすいです。
日頃から愛猫の行動をよく観察して、小さな変化に気づいてあげられると良いですね。
健康チェックに役立つトイレの頻度とは

猫のトイレは、排泄の場所であると同時に、愛猫の健康状態を知るための重要なバロメーターです。
毎日のトイレ掃除の際に、おしっこやうんちの回数、量、色、状態をチェックする習慣をつけましょう。
健康な成猫の排泄頻度の一般的な目安は以下の通りです。
- おしっこ:1日に2回~4回
- うんち:1日に1回~2回
あくまで目安です
この回数は、猫の年齢、食事内容(ドライフードかウェットフードか)、飲水量、運動量、季節などによって変動します。
愛猫の普段の平均的な回数を把握しておくことが大切です。
こんな変化に要注意!
普段の様子と比べて、以下のような変化が見られた場合は注意が必要です。病気のサインである可能性も考えられます。
- トイレの回数が極端に増えた(頻尿):膀胱炎や慢性腎臓病の可能性があります。
- トイレの回数が極端に減った、または出ていない:尿路結石などで尿道が詰まっている(尿閉)可能性があります。これは命に関わる緊急事態です。
- トイレに何度も行くが、少ししか出ていない:膀胱炎や尿路結石が疑われます。
- 便秘や下痢が続く:消化器系の問題やストレスが考えられます。
前述の通り、これらのサインに気づいたら、自己判断せずに早めに動物病院を受診してください。
日々の観察が、病気の早期発見・早期治療につながります。
アメリカンショートヘアのトイレ失敗時の原因と対策
- トイレを失敗するときの具体的な対処法
- 失敗の原因はトイレの臭いかもしれない
- 気になるトイレの匂い対策と消臭方法
- ストレスが原因でトイレを失敗することも
- トイレの失敗は病気のサインかもしれない
- まとめ:快適なアメリカンショートヘアのトイレ環境作り
トイレを失敗するときの具体的な対処法

今まで上手にできていたのに、急にトイレを失敗するようになると、飼い主さんは心配になりますよね。
しかし、猫がトイレを失敗するのには必ず何らかの理由があります。
その原因を冷静に探り、一つずつ対処していくことが解決への道です。
ステップ1:粗相した場所を徹底的に掃除・消臭する
まず最も重要なのが、失敗してしまった場所の匂いを完全に消すことです。
猫は自分の排泄物の匂いが残っている場所を「新しいトイレ」と認識してしまうため、中途半端な掃除では同じ場所での粗相が繰り返されます。
- 排泄物をきれいに拭き取る。
- ペット用の消臭スプレーや、クエン酸水、重曹水などを使って匂いを徹底的に分解・消臭する。
- 猫がその場所に近づけないように、一時的に家具を置いたり、カバーをかけたりするのも有効です。
塩素系の漂白剤は、アンモニア臭と混ざると有毒ガスが発生する危険があるため使用しないでください。
また、香りの強い芳香剤でごまかすのも逆効果になることがあります。
ステップ2:トイレ環境を見直す
粗相の原因は、現在のトイレ環境への不満かもしれません。以下の点を見直してみましょう。
- トイレの大きさ:成長して体が大きくなり、トイレが窮屈になっていませんか?
- トイレの形状:フード付きトイレの圧迫感が嫌、または出入りがしにくくなった可能性はありませんか?
- 猫砂の種類:突然、猫砂の種類を変えませんでしたか?新しい砂の感触や匂いが気に入らないのかもしれません。
- トイレの数:多頭飼いの場合、トイレの数は「猫の頭数+1個」が理想です。
ステップ3:猫の様子をよく観察する
前述の通り、失敗の原因がストレスや病気である可能性も考えられます。
叱りつけるのではなく、なぜ失敗したのか、愛猫の視点に立って原因を探ってあげてください。
失敗の原因はトイレの臭いかもしれない

猫は非常に綺麗好きな動物であり、その嗅覚は人間の数万倍から数十万倍も優れていると言われています。
そのため、トイレが汚れていたり、不快な臭いがしたりすると、そこでの排泄を避けるようになります。
これが、トイレ失敗の大きな原因の一つです。
飼い主さんにとっては「まだ大丈夫」と思える程度の汚れでも、猫にとっては耐えがたい不潔な環境なのかもしれません。
トイレを清潔に保つためのポイント
- こまめな掃除を徹底する
排泄物は、気づいたらすぐに取り除くのが理想です。少なくとも1日に1〜2回はウンチやおしっこで固まった砂を取り除きましょう。 - 定期的な丸洗いと砂の全交換
トイレ本体にも臭いは染み付きます。月に1回程度を目安に、トイレ本体を丸洗いし、猫砂をすべて新しいものに交換することをおすすめします。 - システムトイレのシートもチェック
システムトイレを使用している場合、下の吸収シートの交換を忘れないようにしましょう。吸収しきれなくなったシートは、悪臭の原因となります。
「掃除したばかりなのに使ってくれない…」という場合は、逆に匂いがなくなりすぎて不安になっている可能性も。
砂を全交換する際に、古い砂を少しだけ混ぜてあげると、自分の匂いがして安心して使ってくれることがありますよ。
気になるトイレの匂い対策と消臭方法

猫と暮らす上で、トイレの匂いは多くの飼い主さんが直面する悩みです。
しかし、適切な対策を行うことで、匂いを大幅に軽減させることが可能です。
ポイントは「発生源の臭いを抑えること」と「空間の臭いを取り除くこと」です。
前述の通り、こまめな掃除が匂い対策の基本となりますが、それに加えて以下の方法を試してみましょう。
1. 消臭効果の高い猫砂やトイレシートを選ぶ
近年、猫砂やトイレシートは目覚ましく進化しています。
活性炭や重曹、天然鉱物などが配合された、消臭・抗菌効果を謳う製品が数多く販売されています。
愛猫の好みに合う範囲で、消臭力の高いものを選んでみましょう。
2. ペット用の消臭剤を効果的に使う
粗相をしてしまった場所の消臭はもちろん、トイレ周りの空間にペット用の消臭剤を使用するのも効果的です。
選ぶ際は、香りでごまかすタイプではなく、臭いの元を分解するタイプの製品がおすすめです。
猫が舐めても安全な、天然成分由来のものを選ぶとより安心です。
3. 換気を心がける
単純なことですが、換気は非常に効果的な匂い対策です。
定期的に窓を開けて空気を入れ替えたり、換気扇を回したりして、臭いが室内にこもるのを防ぎましょう。
空気清浄機の設置も有効です。
食事内容の見直しも一つの手
便の臭いが特に強い場合、フードが体質に合っていない可能性も考えられます。
消化の良いフードに変えたり、腸内環境を整えるサプリメントを試したりすることで、便臭が改善されるケースもあります。
ただし、フードの切り替えは慎重に行い、変化が見られない場合は獣医師に相談しましょう。
ストレスが原因でトイレを失敗することも

猫は環境の変化に敏感な動物です。飼い主にとっては些細なことでも、猫にとっては大きなストレスとなり、トイレの失敗という形で現れることがあります。
もし、トイレ環境や健康面に問題が見当たらないのに粗相が続く場合は、ストレスの可能性を疑ってみましょう。
猫がストレスを感じる主な原因
- 環境の変化:引っ越し、部屋の模様替え、新しい家具の導入など。
- 家族構成の変化:新しい家族(人間やペット)が増えた、あるいは同居人がいなくなった。
- 生活リズムの変化:飼い主の留守時間が長くなった、生活パターンが変わった。
- 他の猫との関係:多頭飼いの場合、他の猫との縄張り争いや相性の問題。
- 大きな音や来客:工事の音、雷、頻繁な来客など。
- 運動不足や退屈:遊びの時間が足りず、エネルギーが発散できていない。
スプレー行動との違い
ストレスによる粗相と似た行動に「スプレー(マーキング)」があります。
スプレーは、主に縄張りを主張するために、壁や家具などに少量のおしっこを吹きかける行動です。
立ったまま尻尾を震わせながら行うのが特徴で、通常の排泄とは区別されます。
去勢・避妊手術で軽減されることが多いですが、強い不安やストレスが原因で起こることもあります。
ストレスが原因と思われる場合は、まずその原因を取り除くか、猫が安心できる環境を再構築することが大切です。
隠れられる場所を増やしたり、一緒に遊ぶ時間を増やしてコミュニケーションを取ったりすることで、猫の不安を和らげてあげましょう。
トイレの失敗は病気のサインかもしれない

【重要】このセクションは獣医療に関する情報を含みますが、診断に代わるものではありません。
愛猫に異変を感じた際は、必ず動物病院を受診してください。
トイレの失敗が続く場合、単なるしつけや環境の問題ではなく、何らかの病気が隠れている可能性を常に念頭に置く必要があります。
特に、急に失敗するようになった、頻繁にトイレに行く、痛そうに鳴くなどの場合は注意が必要です。
トイレのトラブルに関連する主な病気には、以下のようなものがあります。
泌尿器系の疾患
- 猫下部尿路疾患(FLUTD)
膀胱炎や尿路結石など、膀胱から尿道にかけての病気の総称です。頻尿、血尿、排尿痛(トイレで鳴く)、トイレ以外の場所での排泄などの症状が見られます。特にオス猫は尿道が細く、結石などで詰まりやすい(尿閉)ため、おしっこが全く出ていない場合は命に関わる緊急事態です。 - 腎臓病
特に高齢の猫に多く見られます。腎機能が低下すると、薄いおしっこを大量にするようになります(多飲多尿)。そのため、トイレに間に合わずに粗相をしてしまうことがあります。
その他の疾患
- 関節炎
高齢の猫では、関節の痛みからトイレの縁をまたぐのが辛くなり、トイレに入るのを嫌がることがあります。 - 認知機能不全症候群
人間でいう認知症のような状態で、場所がわからなくなったり、トイレの失敗が増えたりします。
トイレの失敗に加え、元気がない、食欲がない、水をたくさん飲む、体重が減ったなどの他の症状が見られる場合は、病気の可能性がより高まります。
少しでも「おかしいな」と感じたら、様子を見ずに、すぐに獣医師に相談してください。