
「スコティッシュストレートをお迎えしたいけど、抜け毛は多いのかな?」「毛が抜けやすい猫種だったらどうしよう…」と、愛猫との生活を前に、抜け毛に関する不安を抱えている方は少なくありません。
スコティッシュストレートは基本的に短毛種ですが、中には長毛という珍しいタイプも存在します。
抜け毛が少ない猫との暮らしを望む方にとって、実際のところどうなのかは非常に気になるところですよね。
また、世の中には抜け毛の少ない猫ランキングなども存在しますが、スコティッシュストレートはその中でどのような位置づけになるのでしょうか。
この記事では、スコティッシュストレートの抜け毛の真実と、日々のお手入れ方法について詳しく解説していきます。
スコティッシュストレートの抜け毛は多いのか
- 結局のところ毛が抜けやすい?
- ダブルコートなので抜け毛は多い
- 基本となる短毛の被毛について
- スコティッシュに長毛は珍しい?
- 抜け毛の原因は換毛期だけではない
結局のところ毛が抜けやすい?

はい、結論から申し上げますと、スコティッシュストレートは抜け毛が比較的多い猫種に分類されます。
その穏やかで人懐っこい性格から、初めて猫を飼う方にも人気がありますが、被毛のお手入れに関しては、ある程度の手間がかかることを前提としてお迎えを検討するのが賢明でしょう。
抜け毛が多い最大の理由は、その被毛が「ダブルコート」と呼ばれる二層構造になっている点にあります。
猫の被毛は、主に保温を担う「アンダーコート(下毛)」と、外部の刺激から体を守る「オーバーコート(上毛)」で構成されており、この両方を持つのがダブルコートです。
スコティッシュストレートのルーツには、イギリスの寒暖差のある気候に適応してきたブリティッシュショートヘアなどがいるため、この特徴を受け継いでいます。
このため、特に春と秋の「換毛期」には、体温調節のためにアンダーコートがごっそりと生え変わります。
まるで体が一回り小さくなったように感じるほど大量の毛が抜けることもあり、この時期のケアは特に重要です。
見た目の愛らしさや性格の穏やかさという大きな魅力の裏には、こうしたこまめなケアが求められるという側面があることを、事前にしっかりと理解しておく必要があります。
豆知識:抜け毛の多さと魅力の関係
実は、スコティッシュストレートの魅力である、あの丸みを帯びたふわふわのフォルムは、この密度の高いアンダーコートによって作られています。
つまり、抜け毛が多い原因であるダブルコートが、同時に彼らの愛らしい見た目を生み出している、表裏一体の関係にあるのです。
抜け毛は大変ですが、それも彼らの魅力の一部と捉えることができると、より愛情が深まるかもしれません。
また、抜け毛のお手入れは、単に部屋を清潔に保つという目的だけではありません。
猫自身がグルーミングの際に抜け毛を大量に飲み込んでしまい、体内で毛玉が詰まる「毛球症」という病気を引き起こすリスクを低減させるという、健康管理の観点からも非常に大切です。
日々のケアは、愛猫との快適で健康な生活を築くための重要なコミュニケーションの一環と言えるでしょう。
ダブルコートなので抜け毛は多い

スコティッシュストレートの抜け毛が多い理由である「ダブルコート」について、もう少し詳しく見ていきましょう。
ダブルコートは、太くしっかりとした「オーバーコート(上毛)」と、その下に生えている柔らかく密集した「アンダーコート(下毛)」の二層で構成されています。
オーバーコートは主に皮膚を外部の刺激から守る役割を担い、アンダーコートは体温を調節する断熱材のような役割を果たします。
このため、猫は年に2回、気候に適応するためにアンダーコートをごっそりと生え変わらせます。
これが「換毛期」です。
換毛期の時期
- 春(3月〜5月頃):冬用の密集したアンダーコートが抜け、夏仕様の通気性の良い毛に生え変わる。
- 秋(9月〜11月頃):夏用の毛が抜け、寒さに備えるための保温性の高いアンダーコートが生えてくる。
特に春の換毛期は、冬の間に蓄えた毛が大量に抜けるため、飼い主さんが最も抜け毛を実感する時期と言えるでしょう。
このように、体温調節に不可欠な被毛の仕組みが、スコティッシュストレートの抜け毛の多さに直結しているのです。
基本となる短毛の被毛について

市場で見かけるスコティッシュストレートの大多数は、その名の通り「短毛種」です。
しかし、この「短毛」という言葉から、抜け毛が少なくて手入れが楽というイメージを持つと、少し驚かれるかもしれません。
彼らの被毛は、単に短いというだけでなく、他の猫種とは一線を画す独自の特徴を持っています。
最大の特徴は、まるでベルベットや上質なプラッシュ生地を思わせる、指が沈み込むほどの圧倒的な毛の密度にあります。
一本一本の毛はしっかりとしていますが、密集して生えているアンダーコート(下毛)のおかげで、全体として非常に滑らかで弾力のある手触りを生み出しています。
この密度の高い被毛が、スコティッシュストレート特有の丸みを帯びた愛らしいフォルム、いわゆる「ずんぐりむっくり」としたシルエットを際立たせているのです。
前述の通り、この被毛はダブルコートであるため、毛が短いからといって抜け毛が少ないわけではありません。
むしろ、この短くハリのある毛は、ソファやカーペット、衣類などの布製品の繊維に深く入り込みやすく、一度付着すると掃除機や粘着ローラーでも取り除きにくいという側面があります。
長い毛のように大きな毛玉にはなりにくいものの、生活空間のあらゆる場所に細かく付着するため、こまめな掃除が欠かせなくなるでしょう。
短毛種のメリットと注意点
- メリット:毛が短いため、長毛種に比べて毛が絡まって重度の毛玉になるリスクは格段に低くなります。日々のお手入れで、比較的スムーズにブラッシングできる点は大きな利点です。
- 注意点:しかし、毛の密度が非常に高いため、抜け毛が毛根の近くに溜まりやすい構造になっています。これを放置すると、皮膚の通気性が悪化し、湿疹や皮膚炎といったトラブルを引き起こす原因にもなりかねません。
「短毛だからお手入れは簡単」と一括りにはできないのが、スコティッシュストレートの奥深さですね。
その可愛らしい見た目を支える高密度の被毛の特性を正しく理解し、見た目以上にしっかりとしたブラッシングケアを心がけることが、愛猫の健康と快適な暮らしを守る鍵となります。
スコティッシュに長毛は珍しい?

はい、結論として、長毛タイプのスコティッシュストレートは非常に珍しい存在です。
その希少性から、出会えたら幸運だと言えるかもしれません。
ペットショップやブリーダーのサイトで見かける機会が少ないのは、長毛の遺伝子が「劣性遺伝」であるためです。
子猫が長毛になるためには、両親の両方から長毛の遺伝子を受け継ぐ必要があり、その出現率は自然と低くなります。
この長毛タイプは、その優雅な見た目から「ハイランドフォールド」や「ロングヘアフォールド」といった愛称で呼ばれることもあります。
「ハイランド」とは、スコットランドの雄大なハイランド地方を想起させる呼び名で、その気品ある姿によく似合います。
胸元やしっぽのゴージャスな飾り毛は、短毛種とはまた違った、格別な魅力を放っています。
しかし、その美しさを維持するためには、相応の覚悟と日々のケアが不可欠です。
基本的な性格や体格は短毛種と変わりませんが、被毛のケアに関しては、より一層の時間と手間を要します。
長く柔らかい毛は、非常に絡まりやすく、あっという間に毛玉を作ってしまいます。
特に注意が必要なのは、以下のような猫の体が擦れやすい部分です。
特に毛玉ができやすい要注意箇所
- 脇の下や足の付け根:歩くたびに摩擦が起きるため、特に固まりやすい場所です。
- お腹周り:床に寝転んだりする際に擦れて、毛玉ができやすい傾向にあります。
- 耳の後ろや首周り:グルーミングで舌が届きにくく、飼い主のケアが必須となる箇所です。
一度できてしまった毛玉を放置すると、皮膚が常に引っ張られた状態になり、猫に大きな痛みとストレスを与えます。
さらに、毛玉の下は通気性が悪化して不衛生な環境となり、皮膚炎や真菌症、ひどい場合には皮膚が裂けてしまうといった深刻なトラブルに発展するおそれもあるのです。
前述の通り、長毛種も被毛の構造はダブルコートであるため、換毛期の抜け毛の量は短毛種と同様に非常に多くなります。
ただし、抜けた毛のインパクトは大きく異なります。
短く細い毛とは違い、一本一本にボリュームのある長い毛は、部屋の中で大きな綿ぼこりのように目立ちます。
掃除機に絡まりやすいなど、掃除の手間という点では短毛種以上にかかると考えておくと良いでしょう。
このため、長毛のスコティッシュストレートとの暮らしには、毎日のブラッシングを習慣化できるかどうかが、極めて重要な鍵となります。
抜け毛の原因は換毛期だけではない

スコティッシュストレートの抜け毛は主に生理現象である換毛期によるものですが、それ以外にもいくつかの原因が考えられます。
もし換毛期でもないのに大量に毛が抜けたり、一部分だけハゲてしまったりした場合は注意が必要です。
考えられる他の原因
- ストレス:引っ越しや家族構成の変化、騒音など、環境の変化は猫にとって大きなストレスとなり、過剰なグルーミングや脱毛を引き起こすことがあります。
- 病気やアレルギー:皮膚炎、アレルギー、ノミ・ダニの寄生、真菌(カビ)感染などが原因で毛が抜けることがあります。かゆみや赤み、フケなどの症状を伴う場合は、病気のサインかもしれません。
- 栄養不足:被毛の健康は栄養状態と密接に関わっています。質の悪いフードや栄養バランスの偏りは、毛艶の悪化や抜け毛につながることがあります。
注意:普段と違う抜け毛に気づいたら
「一部分だけごっそり抜けている」「皮膚が赤い・ただれている」「しきりに体をかいている」といった症状が見られる場合は、単なる抜け毛ではなく病気の可能性があります。
自己判断せず、速やかに動物病院を受診してください。
スコティッシュストレートの抜け毛、対策と他猫種比較
- 抜け毛が少ない猫はいるのか?
- 抜け毛の少ない猫ランキングを紹介
- 日々のブラッシングで対策しよう
- シャンプーは抜け毛対策に有効?
- 食事と栄養で被毛ケアをしよう
- スコティッシュストレートの抜け毛との付き合い方
抜け毛が少ない猫はいるのか?

はい、猫の中には比較的、抜け毛が少ないとされる猫種も存在します。
抜け毛にお悩みの方や、猫アレルギーが心配な方(ただし、アレルギーの原因は毛だけでなくフケや唾液にもあります)は、このような猫種を検討するのも一つの方法です。
抜け毛が少ない猫には、主に2つのタイプがあります。
抜け毛が少ない猫のタイプ
- シングルコートの猫種
被毛が「オーバーコート」のみの一層構造で、保温・保湿のためのアンダーコートがありません。このため、ごっそりと毛が抜ける換毛期がなく、一年を通して少しずつ毛が生え変わります。ダブルコートの猫に比べると、圧倒的に抜け毛の量が少ないのが特徴です。 - ヘアレスキャット
その名の通り、毛がほとんどない、もしくは非常に短いうぶ毛に覆われている猫種です。当然ながら、抜け毛の心配はほとんどありません。
スコティッシュストレートはダブルコートなので、残念ながらこのタイプには当てはまりません。
もし抜け毛の少なさを最優先するならば、シングルコートの猫種などが選択肢に入ってくるでしょう。
抜け毛の少ない猫ランキングを紹介

ここでは参考として、抜け毛が少ないとされる代表的な猫種をいくつか紹介します。
猫種によって性格や必要なお手入れも異なるため、ライフスタイルに合った子を探す際の参考にしてみてください。
猫種名 | 被毛タイプ | 特徴 |
---|---|---|
シャム(サイアミーズ) | 短毛・シングルコート | 美しいポイントカラーが特徴。アンダーコートが少なく、お手入れが比較的楽です。 |
ベンガル | 短毛・シングルコート | ヒョウ柄のような模様が美しい猫種。毛質が柔らかく、抜け毛は少なめです。 |
デボンレックス | 短毛・シングルコート | 巻き毛が特徴的。「プードルキャット」とも呼ばれ、抜け毛が少ないです。 |
シンガプーラ | 短毛・シングルコート | 世界最小の猫種として知られています。シルキーな被毛で抜け毛は少ないです。 |
スフィンクス | ヘアレスキャット | 毛がないため抜け毛の心配がありません。ただし、皮脂のケアや体温管理が必須です。 |
これらの猫種は、スコティッシュストレートとは異なる被毛の構造を持っています。
この表からも、スコティッシュストレートは抜け毛が多いグループに属することが分かります。
日々のブラッシングで対策しよう

スコティッシュストレートの抜け毛対策として、最も手軽で効果的なのが日々のブラッシングです。
ブラッシングには、不要な毛を取り除くだけでなく、血行促進や飼い主とのコミュニケーションといった大切な役割もあります。
ブラッシングの頻度とコツ
- 頻度の目安:短毛種の場合は週に3~4回、長毛種の場合は毎日1~2回を目安に行いましょう。換毛期は、これより頻度を上げてケアするのがおすすめです。
- ブラッシングのコツ:猫がリラックスしている時に、まずは頭や背中など、嫌がりにくい場所から優しくとかし始めます。毛の流れに沿って、力を入れすぎないように注意してください。
おすすめのブラシ
短毛種には、皮膚を傷つけにくいラバーブラシや、毛艶を出す獣毛ブラシが適しています。
長毛種には、毛の絡まりをほぐすスリッカーブラシやコームが使いやすいでしょう。
また、換毛期にはごっそり抜け毛が取れる専用ブラシ(ファーミネーターなど)を週1回のスペシャルケアとして使うのも効果的です。
ただし、専用ブラシは取れすぎるため、日常的な使いすぎには注意してください。
もし猫がブラッシングを嫌がる場合は、無理強いせず、おやつをご褒美にするなどして「ブラッシングは楽しいこと」と少しずつ慣らしていくことが大切です。
シャンプーは抜け毛対策に有効?

シャンプーも抜け毛対策には有効な手段の一つです。
ブラッシングだけでは取り除けない抜け毛や皮脂汚れを一度に洗い流すことができ、体をさっぱりさせることができます。
ただし、猫は基本的に体臭が少なく、自分で体をきれいにする動物なので、頻繁なシャンプーは必要ありません。
やりすぎはかえって皮膚の油分を奪い、乾燥や皮膚トラブルの原因になることもあります。
シャンプーの注意点
- 頻度:シャンプーの頻度は、2~3ヶ月に1回程度で十分です。換毛期に抜け毛が気になるときに限定して行うのも良いでしょう。
- 猫用シャンプーの使用:必ず猫専用のシャンプーを使いましょう。人間用のものは刺激が強く、猫の皮膚には合いません。
- しっかり乾かす:シャンプー後は、タオルで十分に水分を拭き取った後、ドライヤーで根元からしっかり乾かしてください。生乾きは雑菌の繁殖や体温低下の原因になります。
子猫の頃から水に慣れさせておくと、成猫になってからのシャンプーが楽になります。
嫌がる子に無理強いはせず、難しい場合はトリミングサロンなどプロにお願いするのも賢明な選択です。
食事と栄養で被毛ケアをしよう

健康で美しい被毛を育むためには、内側からのケア、つまりバランスの取れた食事が欠かせません。
被毛は主にタンパク質でできているため、良質なタンパク質を含むキャットフードを選ぶことが基本です。
特に、被毛の健康維持に役立つとされる栄養素も意識すると良いでしょう。
被毛の健康に役立つ栄養素
- オメガ3脂肪酸・オメガ6脂肪酸
これらの必須脂肪酸は、皮膚の健康を保ち、被毛に潤いと艶を与える効果が期待できます。サーモンオイルなどが配合されたフードがおすすめです。 - ビタミン類・亜鉛
皮膚や被毛の新陳代謝をサポートし、健康な状態を維持するのに役立ちます。
また、体内の毛玉を排出しやすくする効果がある「毛玉ケア」をうたったフードも市販されています。
抜け毛が多いスコティッシュストレートは、グルーミングの際に毛を飲み込みやすいため、こういったフードを取り入れるのも良い対策になります。
フードだけでなく、いつでも新鮮な水が飲めるようにしておくことも大切です。
十分な水分摂取は、体全体の健康はもちろん、皮膚の乾燥を防ぐことにも繋がりますからね。