
「おとなしい猫と暮らしたい」と考えたとき、ぬいぐるみのような愛らしい姿のブリティッシュショートヘアに心惹かれる方は多いのではないでしょうか。
落ち着いた佇まいから、静かで穏やかなイメージが先行しがちです。
しかし、実際に家族として迎えることを考えると、本当におとなしいか、その性格はどうなのか、人になつかないという噂や、飼い主さんにべったりしますか、といった点は気になるところです。
また、飼いやすい猫かという期待がある一方で、飼ってから後悔しないか、太りすぎや病気のリスク、人気のハチワレ柄の特徴、そして構いすぎてかわいそうな思いをさせないか、など様々な疑問や不安が浮かぶことでしょう。
この記事では、ブリティッシュショートヘアとの暮らしを考えているあなたが抱く疑問や不安を解消できるよう、その性格や飼い方のポイント、注意点まで詳しく解説していきます。
みんなが知りたいブリティッシュショートヘアのおとなしい性格
- 本当におとなしいか?実際のところ
- 基本的な性格と性別による違い
- 飼い主さんにべったりしますか?
- 人になつかないという噂は本当?
- 結果的に飼いやすい猫か?
本当におとなしいか?実際のところ

ブリティッシュショートヘアと聞いて多くの方が思い浮かべる「おとなしい猫」というイメージは、成猫期に限って言えば、多くの場合で的を射ています。
実際に彼らは、成長すると感情の起伏が穏やかになり、物静かに過ごすことを好む傾向が顕著になります。
大きな声で鳴き続けることは少なく、その鳴き声自体も比較的小さいため、アパートやマンションといった集合住宅での暮らしにも適していると考えられます。
ただし、「おとなしい」という一言で彼らの全てを理解したと考えるのは早計です。
そのイメージの裏には、年齢によるダイナミックな変化と、品種の歴史に根差した知的な性質が隠されています。
子猫期:エネルギー溢れる探検家
まず、子猫から若猫の時期(一般的に生後から2~3歳頃まで)は、エネルギーの塊のような存在です。
成猫の落ち着いた姿からは想像しにくいかもしれませんが、好奇心の赴くままに部屋中を駆け回り、目新しいもの全てにちょっかいを出す、まさに探検家そのものです。
この時期の彼らは、「おとなしい」とは対極の活発さを見せます。
この有り余るエネルギーは、彼らがかつて農場などでネズミを狩る「ワーキングキャット」として活躍していた歴史に由来します。
狩りの本能は現代の家庭で暮らすようになっても健在で、猫じゃらしやボールなどのおもちゃを使った「狩りのシミュレーション」に夢中になります。
この遊びの時間は、彼らの運動欲求や知的好奇心を満たす上で不可欠なものです。
成猫期:落ち着きと威厳の獲得
多くのブリティッシュショートヘアは、3歳頃を過ぎると徐々に落ち着きを見せ始めます。
子猫時代のエネルギッシュな探検家は、まるで威厳のある紳士・淑女のように、静かな時間を楽しむようになります。
窓辺で日向ぼっこをしながら外を眺めたり、飼い主の行動を少し離れた場所から静かに観察したりすることが、彼らにとっての幸せな時間へと変化していくのです。
もちろん、成猫になっても遊び好きな一面が完全になくなるわけではありません。
しかし、その遊び方は子猫の頃のようながむしゃらなものではなく、より計算された、洗練されたものになります。
このように考えると、「おとなしい」という言葉だけで彼らを評価するのではなく、年齢というフィルターを通してその行動を理解することが、彼らとの豊かな関係を築く第一歩となります。
子猫時代の活発さを覚悟した上で迎え入れ、成長と共に訪れる穏やかな時間を楽しむ、という長期的な視点を持つことが大切です。
基本的な性格と性別による違い

ブリティッシュショートヘアの基本的な性格は、温和で愛情深く、非常に賢いとされています。
環境の変化にも比較的強く、落ち着いて行動できるため、飼い主にとっては頼もしいパートナーになり得ます。
一方で、プライドが高く自立心旺盛な一面も持ち合わせています。
自分のペースを大切にし、静かな場所でくつろぐ時間を好むため、常に構われることを望むわけではありません。
また、性別によって性格の傾向に少し違いが見られることがあります。
性別 | 主な性格の傾向 |
オス | 比較的好奇心旺盛で、甘えん坊な一面を持つ個体が多いとされます。メスに比べてややのんびりした性格のようです。 |
メス | オスよりもクールで落ち着いており、自立心がより強い傾向があります。物静かで、一匹で過ごすことを好むことが多いでしょう。 |
もちろん、これはあくまで一般的な傾向に過ぎません。
一匹一匹の個性をしっかりと見極め、その子に合った接し方をすることが、信頼関係を築く上で最も重要な鍵となります。
飼い主さんにべったりしますか?

「猫とべったり寄り添って過ごしたい」と考える方にとって、ブリティッシュショートヘアの距離感は少し物足りなく感じるかもしれません。
彼らは飼い主に愛情を抱いていますが、常に抱っこされたり撫でられたりするような、過度なスキンシップはあまり好まない傾向にあります。
これは飼い主が嫌いなわけではなく、彼らの自立心の強さからくるものです。
信頼する飼い主のそばに静かに座っていたり、同じ部屋でくつろいだりすることで、満足感を得ています。
しかし、全く甘えないわけではありません。
自分からすり寄ってきたり、後をついてきたりする時は、構ってほしいサインです。
そのようなタイミングを見計らって、優しく撫でたり、声をかけたりしてあげましょう。
猫の方から求めてきたときに愛情深く応えることが、彼らの心を満たし、良い関係を築くコツと言えます。
無理強いはせず、猫のペースを尊重する姿勢が求められます。
人になつかないという噂は本当?

ブリティッシュショートヘアに対して「人になつかない」というイメージを持つ方もいますが、これは正確な表現ではありません。
彼らの行動は「なつかない」のではなく、「自立心が高く、自分の世界を大切にしている」と捉えるのが適切です。
彼らは飼い主を信頼していないわけではなく、むしろ非常に忠実な面を持っています。
一度信頼関係を築いた飼い主の言うことはよく聞き、賢さを発揮してくれるでしょう。
警戒心がやや強い面もあるため、知らない人が家に来ると隠れてしまうこともあります。
しかし、慣れれば落ち着いて対応できます。
彼らとの信頼関係は、時間をかけてゆっくりと育むものです。
焦らず、猫のペースを尊重し、安心できる存在であることを示し続けることで、彼らは心を開き、深い愛情で応えてくれるようになります。
結果的に飼いやすい猫か?

様々な特徴を踏まえると、ブリティッシュショートヘアは比較的飼いやすい猫種であると考えられます。
飼いやすいとされる点
落ち着いた性格で無駄鳴きが少ないため、マンションなどの集合住宅でも近隣に迷惑をかける心配が少ないです。
また、自立心が高く一匹で過ごすことが得意なので、留守番も安心して任せられます。
賢く、トイレなどのしつけもしやすい傾向にあるでしょう。
短毛種なので、被毛のお手入れにそれほど手間がかからない点も、忙しい方にとってはメリットです。
飼育の上での注意点
一方で、彼らが快適に過ごすためには、静かで落ち着ける環境が不可欠です。
騒がしい場所や、小さなお子様がいる家庭では、猫がストレスを感じてしまう可能性も考慮しなくてはなりません。
また、筋肉質でがっしりした体型を維持するため、運動できるスペースの確保も大切です。
これらの点から、猫とは適度な距離感を保ちつつ、穏やかな関係を築きたいと考えている方にとって、ブリティッシュショートヘアは最高のパートナーとなり得るでしょう。
ブリティッシュショートヘアはおとなしいけど注意点も
- 飼ってから後悔しないために
- 太りすぎは肥満のもと?食事管理
- 構いすぎはかわいそう?接し方
- 注意すべき病気と健康管理のコツ
- 人気のハチワレ柄の特徴と価格
- ブリティッシュショートヘアはおとなしい猫まとめ
飼ってから後悔しないために

ブリティッシュショートヘアとの暮らしを始めてから「こんなはずではなかった」と後悔しないためには、迎える前に彼らの特性を正しく理解しておくことが何よりも大切です。
まず、抱っこが苦手な傾向にあることを受け入れましょう。
「猫=膝の上でゴロゴロ」というイメージを強く持っていると、そのクールな振る舞いに寂しさを感じてしまうかもしれません。彼らの愛情表現は、そっと寄り添うことにあると理解する必要があります。
また、寿命が14年~17年と比較的長い猫種であることも忘れてはいけません。
猫の一生に責任を持つということは、食事やトイレの世話はもちろん、病気やケガをした際の医療費、そして高齢になったときの介護まで、全てを引き受ける覚悟が求められます。
静かな環境を好むため、ライフスタイルの変化(結婚、出産、引っ越しなど)が猫に与える影響も考慮すべきです。
どのような状況になっても最後まで愛情を持って面倒を見られるか、家族全員でよく話し合ってから迎えることが、後悔を防ぐための最も重要なステップです。
太りすぎは肥満のもと?食事管理

ブリティッシュショートヘアの魅力である、がっしりとして丸みを帯びた体型。
その愛らしさから、ついおやつを多めにあげたくなってしまうかもしれません。
しかし、彼らはその骨格や落ち着いた性質から、猫の中でも特に太りやすい体質を持っていることを理解しておく必要があります。
運動不足や不適切な食事が重なると、体重はあっという間に増加し、「太りすぎ」の状態、つまり肥満に陥りやすいのです。
肥満は単に見た目の問題だけではありません。
糖尿病や関節への負担増、心臓病といった深刻な健康問題を引き起こす、万病のもとです。
愛猫の健康寿命を延ばし、生涯を快適に過ごさせてあげるためにも、日々の体重管理は飼い主の重要な責務と言えるでしょう。
食事管理の3つの柱
体重管理の基本は、なんといっても食事です。
以下の3つのポイントを柱として、日々の食事を管理していきましょう。
- フードの適切な選択彼らの筋肉質な体を維持するためには、良質な動物性タンパク質が豊富なフードが基本となります。一方で、肥満を防ぐためには、炭水化物や脂質が控えめなものを選ぶことが賢明です。また、ライフステージ(子猫、成猫、シニア)や、避妊・去勢手術の有無によって必要なカロリーは変化します。特に手術後は代謝が落ちて太りやすくなるため、獣医師に相談の上、避妊・去勢後用のフードに切り替えるのも有効な選択肢です。
- 給与量の厳守と与え方フードのパッケージに記載されている給与量はあくまで目安です。愛猫の現在の体重、理想体重、そして日々の活動量を見ながら微調整する姿勢が求められます。自宅でできる肥満度のチェック方法として「ボディ・コンディション・スコア(BCS)」があります。愛猫の体に優しく触れ、「肋骨がうっすらと感じられるか」「上から見たときにウエストのくびれがあるか」を確認する習慣をつけましょう。食事の与え方としては、1日の給与量を2~3回に分けて与えるのがおすすめです。置き餌は、猫がいつどれだけ食べたかを把握しにくく、だらだら食いの原因となるため避けた方が良いでしょう。
- おやつのルール化おやつはコミュニケーションの素晴らしい手段ですが、カロリーオーバーの最大の原因にもなり得ます。1日に与えるおやつの量は、総摂取カロリーの10%以内にとどめるのが理想です。低カロリーなものを選び、「特別なトレーニングのご褒美」や「爪切りを頑張った後」など、ルールを決めて与えるようにすると、与えすぎを防ぐことができます。
運動を促す2つのアプローチ
食事管理と並行して、消費カロリーを増やすための運動も欠かせません。
成猫になると落ち着きが出て自発的に動くことが減るため、飼い主が意識的に遊びに誘い、運動の機会を作ってあげることが大切になります。
上下運動ができる環境作り猫は水平方向の動きよりも、上下運動をすることで効率的に筋力を使い、運動量を確保できます。
キャットタワーの設置は、そのための最も効果的な方法の一つです。
複数の高さのステップがあるものや、隠れられるボックスが付いているものなど、愛猫が探検気分を味わえるようなデザインを選ぶと良いでしょう。
他にも、家具の配置を工夫してキャットウォークのようにしたり、窓際に外を眺められるスペースを作ってあげたりすることも、彼らの好奇心を刺激し、自然な運動を促すことに繋がります。
狩猟本能を刺激する遊び前述の通り、彼らは優秀なハンターの血を引いています。
その本能をくすぐるような遊びを取り入れると、夢中になって体を動かしてくれるでしょう。
猫じゃらしを獲物のように緩急をつけて動かしたり、物陰に隠したりするだけで、彼らの目の輝きは変わります。
レーザーポインターや電動おもちゃ、ボールなど、愛猫が興味を示すおもちゃを見つけて、1回5分~15分程度の短い時間でも良いので、毎日複数回遊んであげるのが理想です。
構いすぎはかわいそう?接し方

ブリティッシュショートヘアとの暮らしでは、「構いすぎはかわいそう」という認識を持つことが、良好な関係を築く上で非常に大切になります。
自立心が高く、自分の時間を大切にする彼らにとって、過剰な干渉は大きなストレスとなるからです。
眠っているところを無理に起こしたり、嫌がっているのにしつこく抱っこしようとしたりするのは避けましょう。
彼らは、静かで安心できるパーソナルスペースを必要としています。
いつでも隠れられるお気に入りの場所や、誰にも邪魔されずに休める寝床を用意してあげてください。
彼らの気持ちを尊重し、猫からアクションがあるのを待つのが基本姿勢です。
猫が自分から近寄ってきたときは、「甘えたい」「遊びたい」というサインです。
そのサインを見逃さず、優しく応えてあげることで、猫は「この人は自分の気持ちを分かってくれる」と安心し、信頼を深めていきます。
つかず離れずの絶妙な距離感を保つことが、彼らにとって最も快適な付き合い方なのです。
注意すべき病気と健康管理のコツ

ブリティッシュショートヘアは比較的丈夫な猫種ですが、かかりやすいとされる遺伝的な病気も存在します。
愛猫に一日でも長く健康でいてもらうために、以下の病気について知識を持っておくと安心です。
肥大型心筋症
心臓の筋肉が厚くなり、心臓の働きが悪くなる病気です。
遺伝的な要因が大きいとされ、初期症状が分かりにくいため、定期的な健康診断での早期発見が鍵となります。
食欲不振や、あまり動かなくなったなどの変化が見られたら注意が必要です。
糖尿病
前述の通り、肥満になりやすい体質のため、糖尿病のリスクも高いとされます。
水をたくさん飲む、おしっこの量が多いといった「多飲多尿」が初期症状として現れることが多いです。
日頃から飲水量や尿量をチェックする習慣をつけましょう。
尿石症(尿路結石)
尿に含まれるミネラル成分が固まって結石となり、泌尿器を傷つけたり詰まらせたりする病気です。
頻繁にトイレに行く、血尿が出る、排尿時に痛そうに鳴くといった症状が見られます。
いつでも新鮮な水が飲める環境を整え、トイレを清潔に保つことが予防に繋がります。
これらの病気を予防・早期発見するためには、動物病院での定期的な健康診断が最も効果的です。
また、日頃から愛猫の様子(食欲、元気、排泄物など)をよく観察し、些細な変化にも気づけるようにしておくことが、健康寿命を延ばすための大切なポイントとなります。
人気のハチワレ柄の特徴と価格

ブリティッシュショートヘアといえば、「ブリティッシュブルー」と呼ばれる青みがかったグレーの毛色が象徴的ですが、実は非常に多彩な毛色のバリエーションが存在します。
その中でも近年人気が高いのが、額が八の字のように分かれた「ハチワレ」柄です。
ハチワレは、正式には「ブラック&ホワイト」や「ブルー&ホワイト」といったバイカラー(2色)の一種で、色の入り方によって様々な表情を見せてくれます。
この柄はブリティッシュショートヘアに限らず多くの猫種で見られ、ハチワレだからといって特別な性格になるわけではありません。
毛色の種類は豊富で、他にもクリーム、ブラック、三毛猫にあたるダイリュートキャリコなど、多様なカラーが存在します。
価格については、猫の価格は月齢、血統、そして毛色や柄の人気度によって変動します。
一般的に、ブリティッシュショートヘアの平均価格は約22万円前後とされていますが、人気のブルーや、希少なゴールデン系の毛色、整ったハチワレ柄の子猫などは、相場よりも高くなる傾向があります。