
「ブリティッシュショートヘアはかわいくない」という言葉を耳にして、これからお迎えを考えている方は不安に感じ、すでに飼っている方は少し寂しい気持ちになっているかもしれません。
その背景には、子猫から成猫になる過程での顔の変化や、想像していたよりも顔が丸くないことへの戸惑いがあるようです。
また、そのふてぶてしいとさえ言われる貫禄のある表情や、思ったよりでかいと感じる体格、あるいは逆に大きくならない個体差に関する疑問も聞かれます。
性格面についても、抱っこ嫌いの理由や、本当に愛情深い猫か、もしかして神経質か、といった点が気になる方も多いでしょう。
飼育が大変なのではないか、具体的な欠点は何か、という心配を抱えているかもしれません。
この記事では、そのような様々な疑問や不安に寄り添い、ブリティッシュショートヘアがかわいくないということが本当なのかを、客観的な情報に基づいて丁寧に解説していきます。
「ブリティッシュショートヘアがかわいくない」は見た目のせい?
- 子猫から成猫への顔の変化とは
- 顔が丸くない子もいるって本当?
- ふてぶてしい顔つきは成長の証
- がっしりした体格で「でかい」は本当か
- 逆に体が大きくならないという悩み
子猫から成猫への顔の変化とは

ブリティッシュショートヘアと暮らす上で最も興味深く、そして時に飼い主を驚かせるのが、子猫から成猫へと至る劇的な顔つきの変化です。
この変化の幅は他の猫種と比べても非常に大きく、その過程を知ることは、彼らの魅力を深く理解するための第一歩となります。
ゆっくりと時間をかける成熟のプロセス
まず理解しておきたいのは、ブリティッシュショートヘアが身体的・精神的に成熟するまでには、約3年から5年という非常に長い時間が必要であるという点です。
一般的な猫が1年ほどで成猫の体格になるのと比較すると、これは際立ってゆっくりとしたペースと言えます。
この長い成長期間こそが、あの独特の風貌を作り出すための重要な準備期間なのです。
子猫の時期は、骨格がまだ華奢で、体に対して頭や目が大きく見えるため、あどけなく愛らしい印象を与えます。
中には、そのアンバランスさから「エイリアンフェイス」とユーモラスに呼ばれることもあるほどです。
しかし、1歳を過ぎたあたりから徐々に骨格が太く、筋肉が発達し始め、顔つきに変化の兆しが見え始めます。
「丸顔」を形成する具体的な要因
では、具体的に何が作用してあの印象的な丸顔は作られるのでしょうか。
要因は主に3つ考えられます。
一つ目は、頬から顎にかけての骨格と筋肉の発達です。
特に去勢をしていないオスの場合、「スタッドジョウル(Stud Jowl)」と呼ばれる、繁殖可能なオス特有の肉厚な頬が発達します。
これにより、顔の横幅がぐっと広がり、力強く威厳のある表情が生まれます。
二つ目は、密度の高い豊かな被毛です。
ブリティッシュショートヘアの被毛は、アンダーコートとオーバーコートからなる「ダブルコート」で、まるでビロードのように密生しています。
この豊かな毛が頬周りをふっくらと見せ、顔全体の丸みを視覚的に強調する効果を持っています。
そして三つ目は、落ち着いた性格からくる表情です。
成長と共に穏やかさが増し、物事に動じなくなることで、口角が自然と上がり、まるで微笑んでいるかのような表情(ブリティッシュスマイル)を見せることがあります。
これが、かの有名な『不思議の国のアリス』に登場する「チェシャ猫」のモデルになったという説の所以かもしれません。
ニヤリと笑う口元や、どっしりとした存在感が、作者にインスピレーションを与えたと想像するのは楽しいものです。
変化がもたらす飼い主の戸惑いと、その先の魅力
このように、複数の要因が長い年月をかけて組み合わさることで、子猫時代の面影を残しつつも、全く異なる魅力を持つ成猫の顔が完成します。
だからこそ、子猫の時の愛くるしい姿に一目惚れした飼い主が、成猫になった時の貫禄ある姿とのギャップに戸惑い、「想像と違う」「かわいくない」と感じてしまうことがあるのです。
しかし、このダイナミックな変化こそが、ブリティッシュショートヘアという猫種の最大の醍醐味です。
シャープでやんちゃな子猫時代、少しずつ大人の顔つきになる青年期、そして威厳と愛嬌を兼ね備えた壮年期と、まるで違う猫と暮らしているかのような豊かな体験をさせてくれます。
変化の過程を愛情をもって見守ることで、表面的な可愛さだけではない、生涯のパートナーとしての深い絆を育むことができるでしょう。
顔が丸くない子もいるって本当?

「ブリティッシュショートヘアといえば丸顔」というイメージが強いですが、全ての猫が理想的なまん丸の顔になるわけではありません。
特に子猫の時期や、血統によっては、想像よりも顔がシャープで丸くないと感じる場合があります。
実際に、インターネット上のQ&Aサイトなどでは、「ブリティッシュショートヘアとして迎えたが、顔があまり丸くない」といった相談が見受けられます。
これは、両親の骨格や体型が遺伝に大きく影響するためです。
例えば、母猫が比較的小柄でスリムな場合、その子猫も同様の体型を受け継ぐ可能性が高まります。
もちろん、成長と共に顔周りに肉がついてきて丸みを帯びる子もたくさんいますが、最終的な顔の形は個体差が大きいのが実情です。
もしお迎えした子の顔が理想より丸くなくても、それはその子の紛れもない個性です。
むしろ、スタンダードから少し外れた整った顔立ちを「かわいい」と感じる飼い主も多く、唯一無二のチャームポイントとして愛されています。
ふてぶてしい顔つきは成長の証

ブリティッシュショートヘアの成猫が見せる、どっしりと落ち着いた表情を「ふてぶてしい」「無愛想」と感じる人もいるかもしれません。
しかし、その表情は彼らの穏やかで動じない性格が表れたものであり、心身ともに成熟した証拠と捉えることができます。
この猫種はもともと、騒がしい環境を好まず、静かに自分のペースで過ごすことを得意とします。
感情を大きく表に出すことが少ないため、一見するとクールで何を考えているか分からないように見えることがあります。
その落ち着き払った態度が、人間から見ると「ふてぶてしい」という印象に繋がるのでしょう。
ある飼い主のエッセイでは、その「顔が怖い」ところこそがチャームポイントだと語られています。
SNSなどを見ても、独特の表情が「たまらなく可愛い」「クセになる」と、多くのファンを魅了しているのが分かります。
つまり、ふてぶてしいと感じるかもしれない顔つきは、見る人によっては最高の魅力になる、奥深い特徴なのです。
がっしりした体格で「でかい」は本当か

ブリティッシュショートヘアは、猫の中でもがっしりとした筋肉質の体を持つ、中型からやや大型の猫種に分類されます。
そのため、「でかい」という印象を持つのは決して間違いではありません。
オスとメスの標準体重
成猫時の体重には個体差がありますが、一般的な目安は以下の通りです。
性別 | 平均体重 | 特徴 |
オス | 5kg ~ 8kg | メスに比べて骨格が大きく、よりがっしりしている。中には8kgを超える子もいる。 |
メス | 4kg ~ 6kg | オスよりは小柄だが、それでも一般的な猫と比べると筋肉質で重量感がある。 |
このように、特にオスはかなりの大きさになる可能性があります。
胸板が厚く、肩幅も広く、短く太い足でどっしりと立つ姿は、まさに「小さな重戦車」のようです。
このたくましい体格は、かつてネズミ捕りのハンターとして活躍していた歴史の名残でもあります。
その見た目の重厚感と、穏やかな性格のギャップが、多くの飼い主を惹きつける魅力の一つとなっています。
逆に体が大きくならないという悩み

「でかい」と言われる一方で、中には「思ったように体が大きくならない」と心配する飼い主もいます。
これは特に、日本の飼育環境下でブリーディングが繰り返された場合に起こりやすい現象です。
本来、ブリティッシュショートヘアのスタンダードを維持するためには、定期的に海外から新しい血統を取り入れるなどの努力が必要とされます。
しかし、日本国内での繁殖が続くと、徐々に骨格が小さくなり、全体的に小柄な体格になる傾向があるのです。
また、前述の通り、親猫の体格は子猫に強く遺伝します。
お迎えする際にブリーダーから「この子はあまり大きくならないと思う」と説明されるケースもあり、母猫が3kg台といった小柄な場合は、その子も成猫時で4kg程度にしかならないことも珍しくありません。
食事の量や内容も成長に関係しますが、遺伝的な要因が大きいことを理解しておくことが大切です。
他の子と比べるのではなく、その子のペースで健康に成長しているかを見守ってあげましょう。
「ブリティッシュショートヘアがかわいくない」は性格の誤解?
- 猫の抱っこ嫌いの理由と自立心
- 本当はとても愛情深い猫か解説
- 穏やかで神経質かというと違う
- 飼育が大変だと言われるポイント
- 飼う前に知っておきたい欠点は何?
- 「ブリティッシュショートヘアがかわいくない」は大きな誤解まとめ
猫の抱っこ嫌いの理由と自立心

ブリティッシュショートヘアとの暮らしの中で、多くの飼い主が一度は直面するであろう「抱っこ嫌い」という性質。
この行動が「なつかない」「かわいくない」といった大きな誤解に繋がってしまうことが少なくありません。
しかし、彼らが抱っこを避けるのは、飼い主への愛情がないからではなく、そのルーツに根差した強い自立心と、猫本来の習性が深く関係しています。
歴史が育んだ「孤高のハンター」の精神
ブリティッシュショートヘアの抱っこ嫌いを理解するためには、まず彼らの歴史的背景を知ることが助けになります。
彼らの祖先は、人間の庇護のもとで愛玩動物として暮らしていたわけではなく、農場や街角でネズミを捕らえる、単独行動の優秀なハンターでした。
人に過度に依存せず、自分の判断で行動し、生き抜いてきた歴史が、現代の彼らの精神にも色濃く受け継がれているのです。
このような背景から、彼らは自分のペースやテリトリーを非常に大切にします。
誰かに行動を束縛されたり、意に沿わない形で身体の自由を奪われたりすることに、本能的な不快感を覚えます。
抱っこは、まさにこの「自由を奪われる」行為の最たるものです。
したがって、彼らが抱っこを拒否するのは、飼い主への反抗ではなく、むしろ「自分らしさ」を保とうとする健全な自己主張と考えることができます。
猫という動物が持つ本能的な不安
さらに、猫という動物全般に共通する習性も、抱っこ嫌いの理由の一つです。
猫は捕食者であると同時に、より大きな動物からは捕食される側の存在でもあります。
そのため、足が地面から離れて不安定な状態になることや、とっさの時に逃げられない体勢に置かれることに、本能的な不安や恐怖を感じやすいのです。
特にブリティッシュショートヘアは、がっしりとした筋肉質で体重も重いため、中途半端な抱き方をされると強い不安定感を覚えます。
飼い主が良かれと思ってした抱っこも、猫にとっては「落とされるかもしれない」「危険な状態だ」というシグナルになり得ます。
手足をつっぱって全身で抵抗するのは、「お願いだから、安全な地面に降ろしてほしい」という必死のメッセージなのです。
抱っこ以外の豊かな愛情表現に気づく
「では、愛情はどこで感じれば良いのか」という疑問が湧くかもしれません。
心配は無用です。
彼らは抱っこ以外の方法で、実に豊かに愛情を表現してくれます。
大切なのは、人間側の「抱っこ=愛情」という一方的な価値観を一度手放し、彼らの言葉に耳を澄ませることです。
- ゆっくりとした瞬き: 目をじっと見つめて、ゆっくりとまばたきをするのは、猫の世界では最大限の信頼と愛情を示す「猫のキス」とも言われる行動です。
- さりげない同室: 飼い主が部屋を移動すると、少し遅れてついてきて、部屋の隅でくつろぎ始める。これは、同じ空間にいることで安心感を得ている証拠です。
- 鼻や額での挨拶: そっと近づいてきて、鼻先を軽くくっつけてきたり、額をこすりつけてきたりするのも、親愛の情を示す行動です。
これらのサインを見逃さず、彼らの流儀に合わせたコミュニケーションを心がけることが重要です。
無理に抱きしめるのではなく、床に座って同じ目線になり、彼らから近寄ってくるのを待つ「待ちの姿勢」を大切にしましょう。
信頼関係という土台がしっかりと築かれれば、ある日突然、自分からあなたの膝の上を選んで、満足げに喉を鳴らしてくれる瞬間が訪れるかもしれません。
彼らの自立心を尊重し、心地よい距離感を保つことこそが、最も深く、強い絆を育むための鍵となるのです。
本当はとても愛情深い猫か解説

抱っこは苦手ですが、ブリティッシュショートヘアが愛情深くない猫かというと、それは全くの誤解です。
彼らは、飼い主に対して非常に深く、静かな愛情を持っています。
その表現方法が、他の猫種と少し違うだけなのです。
彼らの愛情表現は、派手なものではありません。
飼い主が仕事をしていると、少し離れた場所から静かに見守っていたり、リビングでくつろいでいると、いつの間にかそばに来て丸くなっていたりします。
ベタベタと甘えることは少なくても、飼い主と同じ空間にいることを好み、その存在を常に意識しているのです。
また、撫でられること自体は好きな子が多く、リラックスしている時に優しく声をかけながら撫でてあげると、ゴロゴロと喉を鳴らして気持ちよさそうな表情を見せてくれます。
ツンとした態度を見せたかと思えば、不意にすり寄ってくるような、いわゆる「ツンデレ」な性格も大きな魅力です。
このような静かで奥深い愛情表現を理解できると、彼らとの暮らしはより一層豊かなものになるはずです。
穏やかで神経質かというと違う

ブリティッシュショートヘアの性格を最もよく表す言葉は「穏やか」です。
物事に動じず、落ち着き払ったその態度は、神経質という言葉とは正反対の場所にあります。
もちろん個体差はありますが、多くは大きな物音や来客などに対してもパニックになることは少なく、どっしりと構えていることが多いです。
このため、子供や他のペットがいる家庭でも比較的馴染みやすいと言われています。
寛容で我慢強い面も持ち合わせているため、しつこくされすぎなければ、うまく共存することができるでしょう。
ただし、穏やかであることと、何をされても平気であることはイコールではありません。
自立心が強いため、自分の時間を邪魔されたり、無理やり構われたりすることは嫌います。
静かで平和な環境を好み、マイペースに過ごすことを望んでいるのです。
したがって、神経質ではありませんが、彼らのペースを尊重し、安心できる環境を提供してあげることが、穏やかな性格を維持するためには不可欠です。
飼育が大変だと言われるポイント

穏やかで飼いやすいと言われるブリティッシュショートヘアですが、飼育する上で「大変」と感じる可能性のあるポイントもいくつか存在します。
体重管理の重要性
最も注意すべきなのが、肥満のリスクです。
彼らは筋肉質でがっしりした体型ですが、その分太りやすい体質でもあります。
特に成猫になって落ち着いてくると運動量が減りがちで、食事管理を怠るとすぐに体重が増えてしまいます。
肥満は関節疾患や心臓病、糖尿病など、様々な病気のリスクを高めるため、日頃からの体重チェックと適切な食事量のコントロールが欠かせません。
定期的なブラッシング
短毛種ではありますが、その被毛は「ダブルコート」と呼ばれる二層構造になっており、非常に密度が高いのが特徴です。
そのため、見た目以上に抜け毛は多く、特に春と秋の換毛期には大量の毛が抜けます。
これを放置すると毛球症の原因になったり、皮膚の通気性が悪くなって皮膚炎を引き起こしたりする可能性があります。
週に数回、換毛期にはできれば毎日、ラバーブラシなどで優しくブラッシングをして、抜け毛を取り除いてあげることが大切です。
飼う前に知っておきたい欠点は何?

ブリティッシュショートヘアとの生活を心から楽しむためには、その輝かしい魅力だけでなく、一般的に「欠点」や「注意点」と見なされがちな特性についても、深く理解し受け入れる覚悟が必要です。
「欠点」という言葉は、あくまで人間の価値観から見た一方的な評価に過ぎません。
ここでは、お迎えした後に「こんなはずではなかった」というミスマッチを防ぐため、事前に知っておくべき彼らの個性について、具体的な対策と共に掘り下げていきます。
クールな距離感とスキンシップの価値観
前述の通り、ブリティッシュショートヘアは自立心が強く、過度なスキンシップを好まない傾向にあります。
これは、飼い主との相性を見極める上で最も重要なポイントの一つです。
例えば、「常に猫を膝の上に乗せていたい」「テレビを見ている間も、仕事中も、ずっと寄り添っていてほしい」といった密な触れ合いを猫との暮らしに求める方にとっては、彼らのクールな態度は期待外れに感じられ、深い寂しさを覚えるかもしれません。
彼らの愛情表現は、抱っこやベタベタとした触れ合いではなく、静かに同じ空間を共有し、そっとそばにいる、という形をとることが多いためです。
一方で、「猫は好きだけれど、自分の時間も大切にしたい」「適度な距離感を保ち、お互いに干渉しすぎない関係が心地よい」と考える方にとっては、これ以上ない理想的なパートナーとなるでしょう。
彼らのこの特性は、飼い主自身のライフスタイルや猫に何を求めるかを正直に見つめ直す良い機会を与えてくれます。
生涯続く健康管理という名の愛情表現
ブリティッシュショートヘアの飼育において、最も注意と労力を要するのが健康管理、特に「肥満のコントロール」です。
彼らはもともと筋肉質でエネルギーを必要とする体つきですが、成猫になると運動量が落ちやすく、また食いしん坊な個体も多いため、意識的な管理がなければ肥満に陥りやすい傾向があります。
肥満は、関節炎や糖尿病、心臓疾患といった様々な病気を引き起こす深刻なリスク要因です。
そのため、飼い主には以下のような地道な管理が求められます。
- 食事管理の徹底: 獣医師と相談の上、愛猫の年齢や活動量に合った、低カロリーで高タンパク質なフードを選びます。そして、一日の給与量を計量カップやスケールで厳密に計り、与えすぎを防ぐ必要があります。
- おやつの制限: ねだられるとつい与えたくなりますが、おやつはあくまでトレーニングのご褒美など特別な機会に限定し、一日の摂取カロリーに含めて計算することが大切です。
- 運動の習慣化: 室内でも十分に運動ができるよう、キャットタワーを設置して上下運動を促したり、毎日時間を決めておもちゃで遊んであげたりする工夫が求められます。
この日々の地道な管理を「面倒な手間」と捉えるか、「愛猫の健康を守るための愛情表現」として楽しみながら続けられるか。
ここが、飼い主としての適性を測る一つの分水嶺になると言えるかもしれません。
遺伝性疾患のリスクと向き合う覚悟
数は多くありませんが、ブリティッシュショートヘアには特定の遺伝性疾患のリスクがあることも知っておく必要があります。
代表的なものに、心臓の筋肉が厚くなる「肥大型心筋症(HCM)」や、腎臓に液体が溜まった袋ができて機能が低下する「多発性のう胞腎(PKD)」があります。
これらのリスクに備えるために、飼い主ができることはいくつかあります。
まず、お迎えする際には、親猫の遺伝子検査をきちんと行い、その結果を誠実に開示してくれる信頼できるブリーダーを選ぶことが極めて重要です。
そして、お迎えした後も、年に一度の定期的な健康診断を欠かさないことが大切になります。
特に肥大型心筋症は初期症状が分かりにくいため、獣医師と相談し、定期的に心臓の超音波(エコー)検査を受けることが早期発見に繋がります。
万が一の際の高額な治療費に備え、ペット保険への加入を検討することも有効な選択肢の一つです。
これらの特性を「乗り越えられない障害」と見るか、「共に支え合い、向き合っていくべき個性」として愛せるか。
ブリティッシュショートヘアとの幸せな暮らしは、この問いに対する飼い主自身の答えにかかっているのです。